2007.12.31 01:24 MSN産経ニュース
【イスラマバード=菅沢崇】パキスタン人民党(PPP)は30日、ブット元首相の地元の南部シンド州ラルカナで幹部会を開き、新総裁に元首相の長男のビラワル・ブット氏(19)と、夫のザルダリ氏(51)の2人を選出。記者会見でビラワル氏は「民主化を求める党の苦闘は、新たな活力とともに続く。民主化こそ最高のリベンジ(復讐(ふくしゆう))と母は語っていた」と述べ、来月8日実施予定の総選挙に同党が参加することを表明した。
総選挙をめぐっては、元首相の暗殺で実施困難との見方も出ていたが、ボイコットの意向を示していたナワズ・シャリフ元首相率いるパキスタン・イスラム教徒連盟シャリフ派が総選挙への参加を表明。ムシャラフ大統領もPPPの出方を見て対応を決めるとしていたことから、予定通りに選挙が行われる可能性が高まっている。
選挙管理委員会は31日、選挙延期の可否について討議する緊急会議を開く予定だ。
ただ、大統領与党幹部は30日、AP通信に総選挙が数週間から最大4カ月延長されるとの見通しを表明した。パキスタン国内では、ブット氏の支持者らによる暴動で治安が急速に悪化しており、PPP新指導部は統率力が試されることになる。
新総裁に選出されたビラワル氏は、25歳が立候補資格となるパキスタン下院選への被選挙権はないため、ブット元首相に代わる「党の象徴」として活動し、実務面をザルダリ氏らが支える体制になるとみられる。
ビラワル氏の就任には党内から「若すぎる」との意見もあったほか、ビラワル氏本人も消極的だったとされる。しかし、PPP執行部はカリスマ性のあったブット元首相の死による党勢の失速を懸念しており、「ブット家の血統」の継承が不可欠と判断したもようだ。