散弾銃乱射 2人死亡 佐世保のスポーツクラブ 迷彩服の男逃走 女児ら6人負傷
12月15日10時9分配信 西日本新聞
14日午後7時15分ごろ、長崎県佐世保市名切町のスポーツクラブ「ルネサンス佐世保」に、迷彩服を着た男が押し入り、散弾銃のようなものを乱射した。長崎県警によると、従業員の水泳インストラクター倉本舞衣さん(26)=同市権常寺町=と漁業藤本勇司さん(36)=同市鹿子前町=の計2人が死亡し、水泳中の女児ら6人が負傷、3人がショック症状などで病院に搬送された。犯人の男は裏口から逃走しており、県警は無差別殺人事件として対策本部を設置し、男の行方を追っている。
県警によると、太ももなどを撃たれて負傷したのは女児(9つ)ら男女計6人。ショック症状などで病院に運ばれたのは女児(7つ)と母親(36)、女児(10)の3人で、いずれもけがはないという。
調べでは、男は身長170‐190センチ。フルフェースのヘルメットか目出し帽をかぶり、迷彩服の上にシルバーグレーのダウンジャケットを着ていた。ルネサンス佐世保は4階建て。1階にスーパーがあり、2‐4階をクラブが使用。2階には受付、プールがある。
男は1階のスーパーから2階に通じる階段途中で発砲。その後、2階のクラブ入り口から発砲しながら侵入し、ロビーや事務室で乱射した。さらにプールの周囲にある観客席に進んで発砲後、プールの脇に入っても発砲したという。
ルネサンスによると、死亡した倉本さんはプールにいたが、ほかの従業員から「逃げろ」と言われて子ども数人と水着のまま事務室に逃げ込み、そこに男が追い掛けて来て2発撃ったという。倉本さんは左後方から腹部を撃たれたらしい。
当時、クラブ全体には会員約50人と従業員約20人の計約70人がいた。2階のプールには、選手コース所属の小学校高学年から中学生までの選手約15人が練習中で、インストラクター5人が指導。保護者7人前後が見学していた。
県警によると、午後7時15分ごろ「スポーツクラブで何かが破裂する音がした」と110番通報があり、同20分には「男が2階に立てこもっているようだ。窓や壁を銃で撃ちまくっている」との通報が入った。
現場はJR佐世保駅の北約2キロにある住宅街で、周辺には小中学校や高齢者施設などがある。
事件の流れ
12月15日21時15分配信 毎日新聞
事件のあった「ルネサンス佐世保」2階見取図。
×印は発砲したとみられる場所
乱射事件が発生したのは14日午後7時10分ごろ。馬込政義容疑者(37)は建物2階のルネサンス佐世保正面玄関から入り、フロントを横切って、子供たちが水泳指導を受けていたプールに侵入した。プールサイドを約4分の3周したところで、まずガラスの仕切り壁に向けて2発発射した。
倉本舞衣さん(26)は子供たちを連れてフロント裏側の事務室に避難。この間に馬込容疑者はフロント側に戻り、ホールや事務室などで発砲を繰り返した。この時、事務室にいた倉本さんとラウンジにいた藤本勇司さん(36)が犠牲となった。
110番は午後7時12分。同16分、捜査員が現場に到着。しかし、馬込容疑者は既に現場から逃走していた。その後、射殺された藤本さんの友人らの証言から、馬込容疑者の関与が初めて浮上した。
県警は15日午前1時ごろ、同市船越町の教会前の路上で、逃走に使われたとみられる白いワゴン車を発見。しかし「中に乗っている可能性があり、長時間遠巻きにしていた」(県警幹部)。
午前5時44分、教会の方角から発砲音がし、午前7時35分、教会敷地内で馬込容疑者を発見、死亡を確認した。【和田武士、長澤潤一郎】
最終更新:12月15日21時51分
倉本さん「外国人につきまとわれていた」との情報 佐世保乱射
12月15日2時1分配信 産経新聞
銃乱射事件で死亡した倉本舞衣さん(26)は笑顔を絶やさない、会員からの評判もいい女性だった。
ルネサンス佐世保を運営するルネサンス(東京都墨田区)によると、倉本さんは佐世保市で1人暮らし。平成14年5月、アルバイトとして入社した。
事件を目撃した女性従業員(45)は倉本さんを「真面目でスタイルのいい子。なぜこんなことに…」としのび、ため息をついた。
近所の主婦(71)も倉本さんについて「いつも笑顔で、真面目に仕事をしているおとなしくて感じのいいお嬢さんだった」と言って絶句した。プールで主に子供たちに水泳を教え、「コーチ」と呼ばれ慕われていた。
ルネサンスの斎藤敏一社長も「子供を教えることに情熱を傾けていた。仕事中に亡くなったことを大変残念に思う」と述べ、若い従業員の死を悼んだ。
スポーツクラブの関係者によると、倉本さんは最近、外国人につきまとわれていたという情報もある。
「外国人のようだった」目撃情報も
iza 12/14 23:54更新
長崎県佐世保市のスポーツクラブ「ルネサンス佐世保」で14日夜、男が銃を乱射、2人が死亡、5人が負傷した事件で、銃を乱射した男について「外国人のようだった」との目撃情報もあることが分かった。長崎県警佐世保署は殺人事件として緊急配備を敷き、男の行方を追っている。男は犯行に使った銃を持ったまま逃げたとみられる。
県警によると、犯人の男は身長約170から190センチ、迷彩服を着た上にシルバーグレーのダウンジャケット姿、白いフルフェースのヘルメットをかぶっており、太めの体形だった。外国人のようだったという目撃情報もある。
37歳容疑者、銃で自殺…市内の教会敷地内
12月15日8時31分配信 毎日新聞
2人が死亡、6人が重軽傷を負った長崎県佐世保市の散弾銃乱射事件で、県警は15日未明、市内に住む男を容疑者と特定、行方を追っていたが、午前7時35分ごろ、現場から南西約5キロの同市船越町のカトリック船越教会敷地内で血を流して死亡しているのが見つかった。約2時間前に発砲音がし、男が散弾銃を抱きかかえるようにしていたことから県警は自殺したとみて調べている。
死んでいたのは、散弾銃の所有登録者で、同市船越町の無職、馬込政義容疑者(37)。15日午前1時ごろ、同教会前の路上で、馬込容疑者が乗り捨てたとみられる白いワゴン車が見つかっており、車内に散弾銃2丁、空気銃1丁、迷彩服があった。遺体のそばの1丁と合わせ、計4丁の銃を所持していたことになる。
馬込容疑者は事件のあった14日夜、射殺された同市鹿子前町、漁業、藤本勇司さん(36)ら複数の友人を、現場となった佐世保市名切(なきり)町の会員制スポーツクラブ「ルネサンス佐世保」に誘い出しており、友人らの証言からも馬込容疑者の関与が浮上した。馬込容疑者は藤本さんと中学の同級生という。
また、クラブを運営するルネサンス本社(東京都墨田区)によると、馬込容疑者は今年6月21日、会員登録し、ルネサンス佐世保によく通っていたが、クラブ側と重大なトラブルはなかったという。事件があった14日にも入館記録があった。
事件は14日午後7時10分ごろ、男が2階正面玄関から、散弾銃をホールに向けて発射しながら押し入った。その後、カウンター内側の事務室に子供たちとともに逃げ込んだ同市権常寺町、クラブのアルバイト従業員、倉本舞衣さん(26)を射殺。施設見学のため、ホール内で友人と待ち合わせをしていた藤本さんにも発砲し、死亡させた。
このほか、クラブのマネジャーや客の小学生ら6人が銃弾を受けるなどしてけがを負った。県警によると、薬きょうなどから発砲は十数発に上るという。
男は、事務室に一時立てこもったが、プールサイドでも乱射。散弾銃を持ったまま徒歩で逃走していた。迷彩服でフルフェースのヘルメットをかぶっていた。
馬込容疑者は長崎県公安委員会から、02年7月〜今年9月に計4丁の銃の所有許可を得ていた。15日会見した立山秀夫・佐世保署長は「銃が本来の使用目的で使われず残念。許可は適正に行われたと考えている」と述べた。
また、15日午前1時ごろに逃走車を発見しながら、容疑者が死体で見つかるまで約6時間半にわたる空白があったことについて、立山署長は「住民の安全を確保するのに必要な時間だったと考えている」と述べた。
◇負傷者は6人
この事件での負傷者は次の通り。
佐世保市折橋町、ルネサンス佐世保マネジャー、久津間和仁さん(48)▽同市御船町、会社員、小川圭三さん(46)▽同市ハウステンボス町、同市職員、中村隆志さん(39)▽同市横尾町、トレーナー、山口直美さん(22)▽同市保立町、桜木悠乃さん(9)▽同市赤崎町、徳礼朱莉(とくれい・あかり)さん(10)
無差別 水着の子にも 佐世保・銃乱射 男、無言で引き金 「助けて」響く悲鳴
12月15日10時9分配信 西日本新聞
プールを楽しんでいた子どもたちの歓声を、銃声がかき消した。水着姿で震えるわが子を、必死で抱き締める母親たち‐。長崎県佐世保市のスポーツクラブ「ルネサンス佐世保」で14日夜発生した銃の乱射事件。迷彩服姿の男は、プールサイドにいた子どもたちやフロントの女性に無差別に銃口を向け、無言のまま引き金を引いた。「逃げろ」「助けて」。悲鳴にまた、新たな銃声が襲いかかる。スーパーも入った、市街地のスポーツクラブ。犯人は逃走したままで、警察や消防のけたたましいサイレンの音に市民も底知れない恐怖に包まれた。
「男はプールの入り口からゆったりと歩いてきた。コーチが声を掛けると、片手を振って『何でもない』というしぐさをした。異常に気付いて避難しようと、5、6人集まった子どもに向けて突然、銃を撃った」
事件が起きたスポーツクラブ。2階のプールでは、当時子どもの水泳教室が開かれていた。息子の付き添いで、プールを見渡せるギャラリーにいた母親(41)は、目の前での犯行に声を震わせた。
プール脇のジャグジーにいた男児(10)は「男は手に長い銃を構え、背中にも1、2本の銃を背負っていた。最初に3、4発の音を聞いた。怖くなって、ほかの子と一緒にコーチ用の更衣室に逃げた。10分か15分して、また2、3発銃声がした」と話し、「逃げる途中に廊下に血がたくさん流れていた」と青ざめた表情。付き添いの祖母(71)は、建物の外に出てきた男児を見つけると「無事でよかった」と抱き締めた。
警察の指示で建物から出ることが許された子どもたちのほとんどは、着替える間もなく水着姿のまま。毛布を掛けられたが、恐怖と寒さからか泣きじゃくっていた。
クラブ側によると、当時、館内には子どもたち約15人を含む利用者50人とスタッフの、計約70人がいた。男はロビーや事務室など手当たり次第に発砲した。館内にいた会社員男性(28)は「一発目はイベントの音かと思った。逃げようとしたら、目出し帽に迷彩服の男が銃口を自分にも向けてきた。フロントのスタッフにも発砲し、女性が血を流して倒れるのが見えた。叫び声がすごかった」と話した。
発砲後、現場近くにある菓子店にはクラブから約30人が避難。店の電話を借り、おびえた表情で家族と話す人もいた。店員女性(24)は「こんな静かな場所で事件なんて怖くてたまらない」と顔をこわばらせた。
=2007/12/15付 西日本新聞朝刊=
最終更新:12月15日10時9分
<佐世保発砲>住民、恐怖の一夜
12月15日11時20分配信 毎日新聞
ダーン−−。15日午前5時44分、佐世保市船越町の高台にある教会で銃声がとどろいた。近くに住む男性会社員(59)は「5時半過ぎにうつらうつらしていると発砲音がした。まさかと思っていたら、警察から『教会に潜伏している可能性があるので消灯して鍵をかけて』と言ってきた。家の中でじっとしているほかなかった」と声を震わせた。
教会前の路上には、死亡した馬込政義容疑者(37)が逃走に使ったとみられる白いワゴン車が乗り捨てられ、車内には散弾銃2丁と空気銃1丁。馬込容疑者は、さらにもう一丁の散弾銃を使い教会敷地内で自殺していた。迷彩服のズボンに靴をはいたままで、手の指で引き金を引き、頭部に向けて発射したとみられ、血だらけになっていた。
教会そばに住む無職、松尾和徳さん(62)は「眠れない一夜を過ごした」と不安が消えない様子。また、隣りに住む男性も「銃声は聞こえなかったが、教会前に車が止まっているという話を聞いた。パトカーが家の前に止まって警戒してくれたが、不安でしようがなかった」と恐怖の一夜を振り返った。
最終更新:12月15日12時49分
クラブ本社社長が会見 トラブルないが… 「倉本さん若いのに悔しい」
12月15日10時9分配信 西日本新聞
事件現場となった長崎県佐世保市のスポーツクラブを運営する「ルネサンス」(斎藤敏一社長)は14日夜、東京都墨田区の本社で緊急記者会見。斎藤社長は犯人像について「全く思い当たるところはない」と述べた。
斎藤社長によると、同社は全国展開している各店に客などとのトラブルがあった場合には報告を求めているが、佐世保店については「脅迫や不審な手紙などの情報はなかった」という。「健康でありたいと努力する人が集う場所で事件が起きた。大変残念だ」と憤りをあらわにし、死亡した倉本舞衣さん(26)について「5年7カ月も勤務してもらい、子どもを教えることに情熱を傾けていた。若くして亡くなられ、非常に悔しい」と語った。
斎藤社長は15日朝、現地に向かうという。
=2007/12/15付 西日本新聞朝刊=
最終更新:12月15日10時9分
「優しい先生」 亡くなった倉本さん
12月15日10時9分配信 西日本新聞
長崎県佐世保市の銃乱射事件で死亡した倉本舞衣さん(26)は、水泳インストラクターとして子どもたちを熱心に指導、「まい先生」と名前で呼ばれて親しまれていた。
クラブによると、佐世保市内の中学、高校を卒業した倉本さんは、ホテル勤務を経て2002年5月から「パートナースタッフ」というアルバイトとして勤務、ジュニア選手育成クラスのコーチだった。昨夏まで約2年間指導を受けた小学5年の男児(11)は、事件の犠牲者が倉本さんと聞き「厳しく指導されることもあったけど、どうすれば速く泳げるか分かりやすく教えてくれていた。やさしい先生だった」と泣きじゃくった。
倉本さんと知り合いでルネサンス佐世保に通う女性(34)は「色白で目がぱっちりした美人で、笑顔が印象的だった。スタッフの中でもあいさつなど礼儀正しく、男性にも女性にも人気があった」と話した。「トラブルがあった時『何とかして』と頼むと、双方の当事者とも怒らせずに解決できるような心優しい人だった」と肩を落とした。
倉本さんの死を知った子どもたちは「なぜ」と泣きだし、夕食がのどに通らないなどショックが広がっているという。
=2007/12/15付 西日本新聞朝刊=
最終更新:12月15日10時9分
乱射事件から一夜明け、倉本さん隣人「幸せになはずだったのに…」
12月15日11時47分配信 産経新聞
「幸せになるはずだったのに」。長崎・佐世保乱射事件から一夜明けた15日朝、犠牲となった水泳インストラクター、倉本舞衣さん(26)の長崎県佐世保市の自宅アパートは訪れる人もなく、静まり返ったままだった。
倉本さんの部屋は2階建てアパートの1階で、窓際にはスパークリングワインの空き瓶が飾られるように並んでいた。住人や近所の人によると、倉本さんはボーイフレンドとみられる男性と住んでいた。毎朝、男性がバイクで出掛ける際には駐車場まで見送り、手を振っていたという。
向かいのアパートに住む男性は「仲の良い夫婦だと思っていた」。倉本さんの隣室の女性は容疑者が自殺したと伝えられると「そうですか」とため息をつき、「若くてきれいな方で、今から幸せになるはずだったのに」と語った。
一方、ともに犠牲になった無職、藤本勇司さん(36)宅は明かりが消えたままでひっそり。隣接する父親の家には、親族とみられる女性らが時折出入りしていた。
藤本さんには幼稚園児の息子と娘、2歳くらいの子供がいたといい、小中学校で藤本さんと同級生だったという会社員の男性(36)は「まじめでいいやつだった。事件に巻き込まれるなんて想像できない」と突然の悲報に信じられない様子だった。
「なぜか銃を所持」不審がっていた住民
12月15日11時13分配信 毎日新聞
流血の惨事から一夜明け、容疑者は自ら命を絶った−−。長崎県佐世保市名切町のスポーツクラブ「ルネサンス佐世保」で2人死亡、6人が重軽傷を負った乱射事件は15日未明、突然結末を迎えた。自殺したとみられるのは、被害者の1人と中学校の同級生だった馬込政義容疑者(37)。容疑者の死亡でさらなる危険が消滅したことに付近の住民は胸をなでおろす一方、「いったい、なぜ乱射を」という疑問と、遺族の深い悲しみが残った。
「何かやるんじゃないか、とは思っていたが、まさかこんな……」。馬込政義容疑者の自宅近くの住民は絶句した。60代の女性は「猟もしないのになぜ、銃を持っているのか、と思っていた」と話し「仕事はどこに行ってもクビになっていたようで、長続きしなかった。小さい時は、しっかりあいさつしていい子で、こっちも『まさ君』『まさ君』と呼んでいたのだが……」。
近所に住む人たちによると、馬込容疑者は父母と妹、弟の5人家族。父親は元市役所職員だった。地元の小中高校を卒業後、県外の専門学校などに通い、10年ほど前に実家に戻ったという。近所の女性は「亡くなった藤本さんとは中学の同級生。仕事に就いても1、2カ月で辞めてしまうようだった。夜中に突然トイレを借りに来て怖いので、ゴルフクラブを玄関に置いたりしていた」と話した。
近隣の会社役員(67)は「銃を持って裏山をうろうろしていた。『銃を持たせていいのか』と交番に苦情を言ったが、請け合ってもらえなかった」と打ち明ける。「(馬込容疑者から)『あんたが悪口を言うから就職できない』と言われたこともあり、被害妄想の塊のようだった。自宅の離れにこもり、金遣いが荒く、熱心なカトリック信者のお母さんも悩んでいたようだ」と話した。
馬込容疑者が01年8月から半年ほど看護助手として勤務していた佐世保市内の内科医院の関係者は「仕事ぶりは可もなく不可もなかった。思いやりが無く、注意すると逆に怒り出すこともあった」と話した。
事件があったスポーツクラブの運営会社によると、馬込容疑者は今年6月、プールやウェイトトレーニングなど館内すべての設備を利用できる正会員に登録し、8月から利用を開始した。週に4日は通っていたという。
佐世保乱射事件、奇行が目立った馬込容疑者
12月15日12時25分配信 産経新聞
「銃を持って近所を歩いていて怖かった」−。自殺した馬込政義容疑者(37)は、日ごろから近所で「奇行が目立つ人物」とみられていた。迷彩服を着て銃を持ち歩き、深夜に他人の家の呼び鈴を押すことも。一方で、クレー射撃の団体に所属し水泳にも熱心で、いずれも大会で入賞した経験があるという。また、自殺したカトリック教会に通う信者でもあった。
馬込容疑者は、自殺した教会で生後間もなく洗礼を受けた。母親が熱心な信者で15日朝、神父に「教会や皆さんにご迷惑をかけ、申し訳ありません」と、ほとんど聞き取れない涙声で電話をかけてきたという。
馬込容疑者は両親と妹、弟の5人家族。地元の中学を卒業後、佐世保工業高校、県外の大学に進学したが中退し、電気会社に就職したがまもなく退社、地元の病院で看護師見習いをしていたという。
しかし、6〜7年前に病院を辞めてからは無職になり、知人は「このころから少しおかしくなったように思う」。自宅の離れにこもりがちになるなど、人を寄せ付けない雰囲気になり、教会にも年に数えるほどしか姿を見せなくなった。
大音量で音楽をかけたり、銃を手に漫然と出歩いたり、迷彩服を着て釣りに出かけるなど、奇行のような行動が目撃されるようになったという。 市役所に勤めていた父親の退職金で乗用車を買い、夕方になると外出。近所の人は「4、5年前、深夜2時ごろに馬込容疑者に自宅の呼び鈴を鳴らされた。玄関に出ると『トイレを貸してほしい』と言われた。同じことが2度ほど続いた」。このころ、馬込容疑者は「近所の人があちこちで悪口を言うから就職できない」と周囲に漏らしていたという。
馬込容疑者の母親と親交があったという女性は「精神的に不安定で通院していると聞いた。最近顔を合わせたときは目がつり上がっていて恐ろしかった」と話していた。
平成14年に散弾銃の所持許可を取り銃を購入。地元の射撃団体に入り、クレー射撃などにのめり込むようになった。近くの主婦(43)は「散弾銃を持ち歩いていて怖かった」と話し、近所の住民が警察に相談することもあったという。
佐世保市内に事務局を置く「佐世保クラブ」という射撃団体に一時所属し、15年9月には、同市内であったクレー射撃大会のスキート部門で4位になっている。
今年9月、同市内の銃砲店で3本目の散弾銃を購入。「NewSKB」という上下2連銃で、約20万円。主に競技用や狩猟で使用されているという。この店の関係者は「背が高い好青年で、愛想がいい印象だったが、あの銃が事件で使用されたのかと思うと‥」と、動揺を隠せない様子だった。
一方、2年前には水泳の長崎県マスターズ大会で年齢別の25メートル自由形競技で優勝。事件のあったスポーツクラブにも今年6月から熱心に通っており、親しくしていた男性は「ジャグジーで体をほぐすときなど親しく話しかけてきた。付き合いやすくいい人で、ほかの会員とも楽しそうに話していたのに…」。亡くなった倉本舞衣さん(26)との関係をめぐっては「特に好意をもっていたとは考えられない」と話していた。
おとなしいが異常な行動も=深夜、近所に「便所貸して」
12月15日13時1分配信 時事通信
「おとなしかった」。馬込政義容疑者(37)を知る近所の人はそう評した。一方、真夜中に「便所を貸して」と近所を訪れるなど異常ともみられる行動が目に付く存在でもあった。仕事が長続きせず、実家の離れで生活。自殺したのは、母親が熱心に通っていた教会だった。
小さいころから知る女性(68)によると、馬込容疑者は独身で、両親と妹、弟の5人暮らし。「かつて勤めていた病院では患者から好かれていた。おとなしく、とにかくいい子だった」が、どこに行っても仕事は長続きしない。職業安定所に通い、トラックの荷造りをしたこともあったという。
馬込容疑者 7、8年前から奇妙な言動
12月15日21時34分配信 毎日新聞
自殺した馬込政義容疑者は7、8年前から奇妙な言動が目立ち始めていた。近所の会社役員の男性(67)は2、3年ほど前、銃を持って近所の山をうろつく馬込容疑者を目撃した。精神的に不安定になっていると思い、近所の船越町駐在所に「精神を病んでいるのに、銃を持たせていいのか」と伝えたが、応対した警察官は「あんたがとやかく言うことではない」と取り合わなかったという。
この男性は、馬込容疑者から「あんたが悪口を言うから、就職できない」と苦情を言われたこともあった。事件のニュースを聞いて、すぐに馬込容疑者の顔が浮かんだという。
立山秀夫・佐世保署長は15日の会見で「一般的には通報を受けたら慎重に捜査することになる。しかし、今回どうだったかは個別の案件で、プライバシーに関係するので言えない」と口を濁した。【錦織祐一、徳野仁子】
最終更新:12月15日21時34分
まじめで子煩悩…亡くなった藤本さん
12月15日12時41分配信 毎日新聞
まじめで子煩悩で親切、トラブルをつくるような人ではない−−。亡くなった藤本勇司さん(36)の近所に住む住民や仕事上の付き合いがあった人々はそう口をそろえる。
同じ町内に住む主婦の女性(72)は「家族5人、本当に仲良し。子煩悩でいつも、子供の面倒をよく見ていた」と振り返る。藤本さんはトラブルに巻き込まれたり、恨みを買うような人には見えなかったといい「罪のない人の命を無差別に奪ったのだと思う。藤本さんがかわいそう。銃犯罪は、絶対に許せない」と声を震わせた。
水産業を営む藤本さんがつくる漁網を10年以上、愛用してきた男性(61)も「仕事はまじめで一生懸命。愛想も良く、親切。非の打ち所がないような人だった」とため息混じりに話した。「きちょうめんで乱暴なことを言ったことを見たことがない。初もうでに家族5人で仲良く神社にお参りしていた姿を今も良く覚えているのに」とがっくりと肩を落とした。
最終更新:12月15日12時41分
容疑者とは親友だったのに…被害男性の弟
iza 12/15 15:31更新
長崎県佐世保市の散弾銃乱射事件で死亡した藤本勇司さん(36)の弟重利さん(34)は15日、同市の自宅前で取材に応じ「馬込政義容疑者と兄は親友の仲だった。どうしてこんな事件になったのか、全く思い当たるふしがない」と首をひねった。
週1回は藤本さん宅に馬込容疑者が遊びに訪れたり、一緒に釣りに出かけたりしていた。事件前日の13日、2人は昼食をともにしたという。
重利さんは「学生時代よりは、社会人になってから親しさが増したようだ。兄は馬込容疑者のことを『いいやつだ』と言っていた。その相手に、こんなひどい殺され方をするとは…」と話した。
散弾銃所持、容易に許可
12月15日12時15分配信 毎日新聞
佐世保の乱射事件では散弾銃が使われた。散弾銃、ライフル銃などの猟銃は銃刀法で原則として所持が禁じられているが、一方で射撃や狩猟を目的に都道府県公安委員会の許可を受ければ比較的容易に持てる。馬込政義容疑者も、散弾銃所持は許可を受けていた。発砲事件は後を絶たず、許可のあり方をめぐって改めて議論を呼びそうだ。
散弾銃などの許可を得るには、公安委員会の講習会を受講し、その後、筆記と射撃の試験を受ける。
この際、犯罪歴や精神的な疾患、アルコール中毒、住所が定まらない者などは許可されない。精神状態について、医師の診断書を求められるが、簡単な聞き取りですまされる場合が多いという。
警察庁によると、06年末で所持が許可された散弾銃とライフル銃は全国で約30万5000丁。10年前の97年は約39万3500丁で減少傾向だった。しかし、発砲事件は今年は1〜6月までにすでに7件発生し、昨年同期の1件を大きく上回っている。最近では▽06年3件▽05年13件▽04年7件▽03年10件、起きている。
許可をめぐっては、02年に宇都宮市で無職の男が隣人の主婦を射殺した事件で、男が事件の約1カ月前に栃木県公安委員会の許可を受けていたことが判明。宇都宮地裁は今年5月、県警の担当者が男の身元調査などを怠ったとして、県に対して遺族らへ約4700万円を支払うよう命じている。
事件の多発を受け、11月に国会で成立した改正銃刀法では、射撃や狩猟など許可条件以外で使用した場合の罰則を、従来の懲役2年以下または罰金30万円以下から懲役5年以下または罰金100万円以下に引き上げた。【遠山和彦】
4、5年前から散弾購入=佐世保市内の銃砲店で
2007/12/15-14:47 時事通信
長崎県佐世保市で8人が死傷した散弾銃乱射事件で、発砲後に自殺したとみられる同市船越町馬込政義容疑者(37)が、4、5年前から同市内の銃砲店で、定期的に散弾を購入していたことが15日、分かった。県警捜査本部はこの銃砲店で購入した弾が事件で使われた可能性もあるとみて調べている。
同店によると、馬込容疑者はこの銃砲店に2003年ごろから訪れるようになり、空気銃や関連用具などを購入していた。散弾銃はこの店で買っていなかったが、約1年前までの計数回、散弾を500発前後ずつ購入。散弾は、あらかじめ警察へ届け出た数量までしか買えないが、同店の店員によると「本格的に競技大会を目指す人が買うほどの量ではなかった」という。
付近住民が事前に相談=馬込容疑者の散弾銃所持
12月15日23時1分配信 時事通信
長崎県佐世保市の散弾銃乱射で8人が死傷した事件で、馬込政義容疑者(37)宅の近所に住む会社役員の男性が同容疑者の散弾銃所持を問題視し、県警に相談していたことが15日、分かった。最寄りの交番や知り合いの県警幹部に伝えたという。県警は「銃刀法に基づき審査しており、適切な許可だった」と説明している。
馬込容疑者は散弾銃3丁と空気銃1丁を所持。佐世保署は2002年7月から今年9月にかけ、同容疑者の申請を受け、各銃の所持を許可した。
この男性によると、馬込容疑者の日ごろの様子をおかしいと感じていたが、4〜5年前に同容疑者の銃所持を知り、「許可に問題がある」と近くの交番に相談。警察官は「答える筋合いはない」と言って応じなかった。
その後、知人の県警幹部にも電話で相談。この幹部は「対応しますから」と言ったという。
「一日体験」でクラブに誘い出す 佐世保乱射
iza 12/15 18:14更新
長崎県佐世保市のスポーツクラブ「ルネサンス佐世保」の散弾銃乱射事件で、自殺とみられる遺体で見つかった無職、馬込政義容疑者(37)が、射殺された漁具製造業、藤本勇司さん(36)らを事件当夜にクラブに来るよう呼び出した際、「一日体験があるから来てみないか」と誘っていたことが15日、佐世保署捜査本部の調べで分かった。
捜査本部は、馬込容疑者が藤本さんを狙い、気軽に足を運べるように仕向けた可能性もあるとみているが、今のところ2人の間に事件に結び付くようなトラブルは浮かんでおらず、同容疑者の最近の言動について、さらに家族や知人らから聴取を進めている。
調べでは、殺害された2人のうち、藤本さんとは小学校から高校までの同級生という親しい間柄だった。水泳インストラクター、倉本舞衣さん(26)とは、馬込容疑者がクラブ会員だったことや共通の知人がいたとの情報もあり、顔見知りだった可能性はあるが、直接の接点はないとみられる。
一方、被害者2人を含め、逃げる利用者らを執拗(しつよう)に追い掛け、場所を選ばずに十数発発射した犯行の形態から、被害者のどちらかに強い恨みがあったのではないかとの見方も浮上している。
岸田特命相「銃規制強化の必要性検討」 銃乱射事件で
2007年12月15日18時51分 asahi.com
長崎県佐世保市での銃乱射事件について、銃器対策担当の岸田内閣府特命相は15日、「(銃刀)法改正で銃規制を強化した直後ではあるが、今回の事件を検証した上で、さらなる対応が必要なのかどうかも含めて検討したい」と述べ、銃器の規制強化の必要性を検討する考えを示した。那覇市内で記者団に語った。
岸田氏は、散弾銃を使用した事件が相次いでいることから、散弾銃の所有基準についても「しっかり検証しなければいけない」と語った。
一方、福田首相は同日、東京都内で記者団に「外国と同じようになったのかと心配だ。銃の使用については十分気をつけなければいけないが、規制することになっていいのかどうか。それよりも何かいい方法がないのか。真剣に考えなければいけない」と述べた。
佐世保の銃乱射事件、首相「外国と同じようになったのか」
12月15日23時7分配信 読売新聞
福田首相は15日、長崎県佐世保市での散弾銃乱射事件について、「外国と同じようになったのか、と心配だ。(銃の規制強化で)何かいい方法がないのか、真剣に考えなければいけない」と述べ、規制の強化策を検討する考えを示した。
東京・有明の東京ビッグサイトで記者団に語った。
政府の銃器対策推進本部の副本部長を務める岸田沖縄相は那覇市内で記者団に「銃器対策に何か加えるべきものがあるのかどうか、しっかり検討しなければいけない」と述べた。
最終更新:12月15日23時7分
「散弾銃許可は適正」長崎県警側が会見
長崎県警の立山秀夫・佐世保署長と畔林(うねばやし)一喜・刑事部長は15日午後0時半から、県警本部で記者会見し、馬込容疑者がスポーツクラブで発射した散弾は十数発とみられることを明らかにした。
馬込容疑者の散弾銃などの所持許可について、2002年7月、県公安委員会が「標的射撃」を目的に1丁目の散弾銃を許可し、03年2月には、「狩猟と標的射撃」を目的に2丁目を許可。同6月には同様の目的で空気銃1丁、今年9月には3丁目の散弾銃の許可を与えていたという。
当時の許可の是非について、県警側は「法的な要件を満たしており、適正だった」と説明。約5年前に、馬込容疑者宅の周辺住民から「危険な人物がいる」と、交番に通報が寄せられていたことも明らかにし、「当時は適正に調査した」と述べた。
また、馬込容疑者が死亡したことについて、畔林部長は「市民に発砲させないように追跡捜査した結果。安全に身柄を確保出来なかったのは残念だ」と語った。
(読売新聞)
銃乱射男、これが友人を誘い出すメールの内容
12月16日22時36分配信 産経新聞
長崎県佐世保市の散弾銃乱射事件で、自殺した馬込正義容疑者(37)が、友人の男性の携帯電話に送っていた電子メールの内容が分かった。男性が16日、産経新聞に明らかにした。内容は以下の通り。
◇
おは。
また、後で電話するばってん、明日の楽な待ち合わせ方法を、メールしておきます。
俺の無料駐車券があるので、車でそのままルネの駐車場に入り、どこか適当にとめる。階段か道なりで建物の入り口に入る。すぐフロントなので、俺の名前を言えば、入れる様にしておくから入る。奥に歩いて行くと、スカッシュコートの横に階段があるので、1F分登る。もう一つ上は、テニスコートなので違う。正面にプールの見える椅子がいっぱいあるので、楽にして待つ。以上。文章は長いけれど、中身は少ないので、落ち着いて読んでね。
(以上、原文のまま)
自殺の容疑者、友人らに誘い出しメール
長崎県佐世保市で起きた散弾銃乱射事件で、自殺した無職、馬込政義容疑者(37)が事件前、中学・高校の同級生の友人らを現場の「ルネサンス佐世保」に来るように携帯のメールなどで執拗(しつよう)に誘っていたことが分かった。前日の13日にはルネサンスに電話をかけ、死亡した藤本勇司さん(36)ら3人について体験や見学の予約をしていた。同級生の男性(37)は「僕らを道連れにしようとしたのだろうか」。誘い出された友人らは恐怖の瞬間を振り返った。
この男性によると、馬込容疑者からメールを受け取ったのは13日午前8時46分だった。「正面にプールの見える椅子がいっぱいあるので、楽にして待つ(待て)」などの内容で、馬込容疑者はルネサンスに到着してからの行動についても詳細に指示していた。さらに13日の昼過ぎに今度は電話があり、「行けるか?」と念押しされたという。
事件の約40分前に、男性はルネサンスに到着。しかし、職員から「会員と一緒でないと中には入れない」と言われ、フロント付近で待っていたところ、迷彩服に身をつつんだ身長180センチほどの大きな男が入ってきた。男性は、この男は外国人に見えたという。
「バン、バン、バン」。数分後、館内には大きな銃声が響いた。怖くなった男性はあわててフロントから駐車場に戻り、車で屋外に出ようとした。しかし、駐車場の出入り口で警察官から外に出ないように言われ、現場にとどまったという。
大きな音はすぐに銃声と分かった。男性は瞬間的に馬込容疑者の顔が浮かんだ。携帯電話で連絡を取ろうとしたがつながらず、不吉な予感がしたので、近くの公衆電話から馬込容疑者の自宅に電話をかけた。
応対した母親から「(馬込容疑者は)『仕事の面接がある』と言って午後4時ごろに外出した」と知らされたが、不安は募るばかりだった。男性は「今にして思えば、あれが馬込だった。友だちも少なく仕事もなくて、あいつはきっと寂しかったのだろう」と振り返ったが、「でも許せない」と怒りを込めた。【錦織祐一】
毎日新聞 2007年12月16日 21時08分 (最終更新時間 12月17日 0時02分)
長崎・佐世保市銃乱射事件 別の友人男性、「お金持ち女性とパーティー」と呼び出される
FNN HEADLINES 2007/12/17 18:18 取材: テレビ長崎
長崎・佐世保市で起きた銃乱射事件で、馬込政義容疑者(37)に事件当日に呼び出されていたもう1人の友人男性の証言をFNNが入手した。
この男性は、馬込容疑者から、「お金持ちの女性と知り合って、パーティーがあるから来ないか」と電話で誘われ、さらに、「終わったあとは、お楽しみもあるから」と、誘いを受けたという。
この男性は当日、スポーツクラブには行っていない。
乱射事件の馬込容疑者、倉本さんと通話履歴なし
2007年12月17日13時52分 asahi.com
長崎県佐世保市のスポーツクラブで散弾銃が乱射され、8人が死傷した事件で、馬込政義容疑者(37)=同市船越町、逃走後に自殺=が使っていた携帯電話に、殺害された同クラブの水泳コーチ、倉本舞衣さん(26)との通話履歴は残っておらず、電話番号などの連絡先も登録されていないことが、県警の調べでわかった。県警は馬込容疑者の携帯電話やパソコンなどを押収し、動機の解明につながる記録が残っていないか調べている。
県警によると、携帯電話は馬込容疑者が自殺した教会前に止められていたワンボックスカーの中から、パソコンは馬込容疑者宅から押収。今のところ、携帯電話で倉本さんと通話した形跡は見つかっていないという。
一方、殺害された友人の藤本勇司さん(36)らには事件の数日前からスポーツクラブに来るよう誘い、前日の13日には藤本さんら友人3人が14日に「施設体験コース」を利用するための予約をクラブに入れていた。
自宅からの押収品の中には、遺書や犯行声明などは見あたらないという。県警はメールの発着信の記録などの分析を急ぎ、事件の動機解明につながる手がかりがないか調べている。
調べでは、馬込容疑者は14日午後7時10分ごろ、散弾銃を持って同クラブの正面玄関から侵入し、プールなどで十数発を発砲。倉本さんと藤本さんを殺害し、流れ弾などで9〜48歳の6人にけがをさせたとされる。
子ども好きの倉本さん、親子2代で水泳コーチ
今年11月、ルネサンス佐世保で教え子に囲まれてVサインで記念撮影する倉本さん。子どもたちには「舞衣コーチ」と慕われていたという(写真の一部を加工処理しています)
「子どもと接するのが好きなんですよね。長くやってきたスイミングを通して、かかわろうと思って」。長崎県佐世保市の散弾銃乱射事件で亡くなったスポーツクラブ従業員で水泳コーチの倉本舞衣さん(当時26歳)は生前、知人に仕事の魅力を語っていた。事件当日も直前まで子どもの指導に情熱を注ぎ、銃撃から幼い命をかばうようにして命を落とした。
親しい人によると、舞衣さんは父潤一さんが地元でコーチを務めるスイミングクラブで6歳から水泳を習い始めた。潤一さんの指導を受けながら上達し、中学生までは選手として大会に出場。背泳ぎを得意にしていた。その後も趣味で楽しんでいたという。
高校卒業後、一度は市内のホテルに就職したが、5年ほど前「子どもに水泳を教えたい」とルネサンス佐世保に転職。父親と同じコーチの道を歩み始めた。選手経験があるだけに、子どもが記録を伸ばす指導のコツも知っていたという。怒らずやさしく、丁寧な指導が持ち味だった。
舞衣さんの選手時代を知る市水泳協会関係者は4月、約10年ぶりに舞衣さんと再会。スポーツクラブで指導するのを見て「あの潤一さんのお嬢さんがコーチをしているのか。良い娘に育ったな」との感慨を抱いたと振り返る。
16日の舞衣さんの葬儀。潤一さんは「舞衣のことを無念の死とか、かわいそうとは思わないでください。大好きな子供たちを最後まで守ったのですから」とあいさつしたという。
「子どもが生まれたら、みんなに抱かせてあげるね」。親族の結婚式で花嫁が投げたブーケを受け取った時、周囲に語った子ども好きの舞衣さんの夢は馬込政義容疑者の凶弾で絶たれた。【川名壮志】
警察が馬込容疑者に銃部品を預けるよう指導 佐世保銃乱射事件
12月18日14時24分配信 産経新聞
長崎・佐世保乱射事件で、付近の住民から馬込政義容疑者(37)の奇異な行動の相談を受けた佐世保署が、銃の部品を警察に預けるよう馬込容疑者を指導したものの、同署が実際に預かったかどうか記録が残っていないことが18日、警察庁への報告で分かった。警察が猟銃所持者から弾を発射できなくする目的で部品を預かるのは異例の措置という。同署は馬込容疑者が将来的に問題を起こす可能性を認識しながら、対応が徹底されなかった可能性がある。
佐世保署が預けるよう指導した部品は「先台(さきだい)」と呼ばれ、通常、散弾銃の銃身の下にあり、弾を込める際に手前に引く部品。取り外すと弾丸の装填(そうてん)ができず、発射ができなくなる。
同庁によると、付近の住民は平成17年4月9日、馬込容疑者の奇異な行動に不安を感じ、駐在所に通報した。通報内容は佐世保署生活安全課の警部補に引き継がれた。
警部補は通報者の家族に面接調査したうえ、電話で馬込容疑者に精神障害での通院歴などを確認。通院歴などはないことが分かったが、先台を預けるよう指導した。これに対し、馬込容疑者も預けることを約束した。
しかし、実際に部品を預かったかどうか同署に記録はなかった。
警部補は作成した報告書には「緊急に銃を取り上げる根拠もなく、また問題も起こしていない状況にあり、銃を取り上げることはできない」と記載。その一方、「(馬込容疑者に)今後、小さな事案が発生した場合において、問題行動があれば廃銃を勧める」とも記していた。
馬込容疑者、倉本さんにストーカーか…交際男性が目撃
12月18日14時37分配信 読売新聞
長崎県佐世保市のスポーツクラブ「ルネサンス佐世保」で8人が死傷した散弾銃乱射事件で、死亡した同クラブ従業員倉本舞衣さん(26)(佐世保市権常寺町)と交際していた男性が県警の調べに対し、倉本さんと歩いている際、馬込政義容疑者(37)(同市船越町)の姿を何度も見たと話していることがわかった。
クラブの会員だった馬込容疑者が「水泳を教えている倉本さんの姿をよく見ていた」との証言もあり、県警は馬込容疑者が倉本さんに一方的に好意を寄せていた可能性があるとみて調べている。
調べなどによると、倉本さんは友人に「ストーカーまがいの行為をされて困っている」と話していたという。倉本さんは犯行があった金曜日の夕方は毎週、プールでの指導を担当。この際、プールを見渡せる2階や3階のギャラリーから、笑みを浮かべながら倉本さんを見つめる馬込容疑者の姿がたびたび目撃されていたという。
最終更新:12月18日14時37分
長崎・佐世保市銃乱射事件 馬込容疑者、倉本さんの交際相手にも接触し年齢など聞く
FNN HEADLINES 2007/12/18 19:09 取材: テレビ長崎
長崎・佐世保市のスポーツクラブで8人が死傷した散弾銃乱射事件で、馬込政義容疑者(37)が、犠牲になった倉本舞衣さん(26)の交際相手にも接触するなど、事件前に不審な行動を取っていたことがわかった。
犯行の数日前、殺害された倉本さんは、交際相手に「(馬込容疑者は)会員さんなんだけど、気持ち悪い人なの」と話していたという。
倉本さんのこの言葉から、これまで明らかにされなかった馬込容疑者と倉本さんの接点が浮上した。
事件現場となったスポーツクラブの前には、18日も献花が絶えなかった。
馬込容疑者は事件前、このスポーツクラブ内で倉本さんをじっと見つめていたことがあったという。
スポーツクラブの元会員は「ジャグジーは、あまり男の人が来ないんですけど、友達が「『(馬込容疑者が)じっと倉本さんのことを見てるよ。気持ち悪いね』って言った覚えがあるんですよ。(それが)彼(馬込容疑者)だと思います」と話した。
馬込容疑者は、倉本さんをじっと見ていたという。
さらに、同じく犯行の数日前、倉本さんの交際相手は、スポーツクラブ内で突然、面識のない馬込容疑者に話しかけられ、「どこに住んでいるのか?」、「年はいくつ?」などと、しつこく聞かれたといい、倉本さんにもそのことを伝えていたことがわかった。
馬込容疑者は、倉本さんが勤務を始めたのと同じ2002年5月に、このスポーツクラブの会員になったという。
馬込容疑者が以前勤務していた会社の同僚は「『金曜日に休みたいと。金曜日が都合がいい』と本人が言ったので、『金曜日に休みをとらせるから』と、社長から聞きました」と話した。
馬込容疑者は、希望して金曜日に休みをとっていたが、実は、受け付け業務をしていた倉本さんが水泳のレッスンを担当していたのも、金曜日だった。
そして犯行当日の午後7時すぎ、スポーツクラブに入った馬込容疑者は、誰かを探すようにプールをほぼ1周し、大勢の人の中から、倉本さんと藤本勇司さん(36)を殺害し、およそ半数の弾が倉本さんと藤本さんに当たっていることなどから、警察は、明確な殺意を持って撃ったものとみている。
事件当日、馬込容疑者は、呼び出していた友人に「友達の前で見せつけるみたいな。『お前らにはできんことをやってみせるぞ』みたいな」と話した。
「大きなことできる」 馬込容疑者が“予告”
12月18日15時2分配信 毎日新聞
長崎県佐世保市の散弾銃乱射事件で、県警が馬込政義容疑者(当時37歳)の自宅=同市船越町=から、軍事用品が掲載されたカタログや専門書を多数押収していることが分かった。また事件前、現場のスポーツクラブに誘った同級生ら10人近くのうちの一部に「おれは大きなことができる。人間は死ぬっちゃけん」などと事件の“予告”とも受け取れる発言をしていたことも県警の調べで判明した。
県警は、馬込容疑者が同級生や、一方的に好意を寄せていたクラブの水泳コーチ、倉本舞衣さん(同26歳)の前で事件を決行し、自殺の“道連れ”にしたとみて調べている。
調べなどでは、馬込容疑者が乗り捨てた車の中に、イタリアやアメリカ製などの散弾銃のほか、殺傷能力の高いスラッグ弾など少なくとも3種類の弾が計約2500発残されていた。ガンベルトが付いた迷彩柄のベスト型「プロテクター」(射撃用防護服)も遺体のそばにあった。事件時はブーツに兵士用鉄かぶと姿で、防弾チョッキや迷彩服の上にプロテクターを身につけていたという。また、事件で使用した自動式散弾銃はレーザー照準装置も装備していた。
銃や実弾、軍事用品を買い集める一方で、佐世保市周辺の射撃場や狩猟場では練習や猟をした形跡はほとんど残っていなかったという。また、軍事関連のサイトにも頻繁にアクセスし、カタログなどをネットで購入していた履歴も残っていたという。県警は、軍事マニアだった可能性もあるとみてアクセスの履歴確認も進めている。
一方、馬込容疑者は現場に誘った10人近くの同級生に「スポーツクラブで金持ちの女を見つけた。パーティーをする」とのメッセージを留守番電話に入れたり、クラブの体験、見学コースに招くなどさまざまな誘い方をしていた。馬込容疑者は同級生らを誘った際に「おれは大きなことができる」「まじめに働いても大した人生じゃなか」などと自暴自棄な発言もしていた。
クラブの会員だった馬込容疑者は、最近になってほぼ毎日、クラブに通っていたことが確認されている。頻繁に訪れる中で勤務状況などを熟知し、倉本さんがプールで子供たちを指導する金曜日の夕方を選んで犯行に及んだとみられる。
職転々、趣味に金 分かれる人物像 佐世保の乱射容疑者
2007年12月17日11時50分 asahi.com
長崎県佐世保市のスポーツクラブで散弾銃を乱射し、逃走後に自殺したとされる馬込政義容疑者(37)=同市船越町。知人らの話をまとめると、職を転々としながら趣味には金を惜しまないという生活ぶりが浮かび上がる。
馬込容疑者が10月に購入したというボート。舳先(へさき)に「天彩」とある。馬込容疑者宅近くの漁港に係留されている=長崎県佐世保市船越町で
馬込容疑者は89年に地元の工業高校を卒業後、東海地方の家電量販店や医療機関、水産加工会社を転々とした。実家近くの病院にも看護助手として勤めたが、いずれも3年以内に退職した。
この間の95年には通信教育の放送大学に入学し、発達教育学を学んだ。司法書士をめざして勉強した時期もあったという。99年には職業訓練施設に通い、溶接などの技能を取得したが、定職にとどまることはなく、最近は無職だった。
友人の一人は「自分の気持ちをあまり話さず、人付き合いは苦手だった。昔は『何々になりたい』と話していたが、最近は将来のことは話さなくなった」と話す。
趣味には金をつぎ込んだ。
03年からの5年間に1丁20万円や28万円の散弾銃を3丁と空気銃1丁を購入。散弾銃の弾2千発(約6万6000円)をまとめ買いしたこともあった。
7、8年前から通っていたという佐世保市の釣具店では、5万円ほどのさおを買い、ジャケットなども釣り具の高級ブランドでそろえた。店長は「道具はきっちりさせたいタイプなんだと思っていた」と語る。
今年6月には300万円程度の新車のワンボックスカーを100万円の頭金でローンを組んで、10月には数十万円の釣り用の小型ボートを購入した。こうした費用は、数年前に公務員を退職した父親の退職金や母親が借金して工面した金を充てたと、周囲はみる。
身長は約180センチ。自宅裏の離れで寝起きしていた。友人は「テレビやパソコンがあり、棚にDVDが並んでいた」と話す。
生活ぶりは、近所の人には奇異に映ったようだ。ある男性は「いつも庭で釣り具の手入れをしていた。話しかけても無視された」と振り返る。
近年は、夜中に他人の家でトイレを借りようとする、外で銃を持ち歩くといった奇行も目立った。「お前らが悪口を言うから自分は就職できない」と言われた住民もいる。
一方、知人らが抱いていた印象は「温厚で、おとなしい」で一致する。高校時代の同級生の一人は「口を荒らげて怒ったことはないし、けんかもしたことがない」。馬込容疑者が車を購入した自動車販売店の店長は「口数は少なめだが、スタッフとも気軽に話す良いお客さんだった」。釣具店の店長も「おとなしそうな、にこにこした人。のほほんとした感じ」と思っていた。
11月に馬込容疑者と偶然会った高校時代の同級生は、「しばらくぶり」と手を上げる馬込容疑者の陽気さに驚いた。「いつでも連絡して」と携帯電話の番号を書いたメモを笑顔で渡された。「こんなやつだったかな」と違和感を覚えたという。
佐世保乱射:殺傷力の高い弾使う 2人へ明確な殺意か
長崎県佐世保市で起きた散弾銃乱射事件で、事件後に自殺した無職、馬込政義容疑者(37)は、犠牲者2人の遺体などから見つかった散弾の数から、弾の装てんを繰り返しながら乱射した可能性の強いことが県警の調べで分かった。2人に対して殺傷能力が高い単発弾(スラッグ弾)を使用し、命中させていたことも判明。馬込容疑者が2種類の弾を使い分けていることから、県警は2人への明確な殺意を抱いたうえで銃撃したとみて調べている。
県警の調べでは、現場となったルネサンス佐世保内の壁や遺体などから、弾の形状や大きさが異なる少なくとも2種類の弾が見つかった。うち一つは
スラッグ弾と呼ばれるもので、弾体が大きく散弾より破壊力があり、一般的にはイノシシやクマなどの大きな動物の猟に使うことが多いという。
犠牲者のうち、漁具製造業、藤本勇司さん(36)は至近距離で胸や腕、太ももなどを撃たれ体内から数十発の弾が見つかっているが、スラッグ弾も含まれていた。体の前後両方から弾が進入しており、藤本さんが被弾して倒れたところへとどめを刺すように銃撃したとみられる。藤本さんは馬込容疑者の他の友人2人とともに現場に呼び出されていた。
また、馬込容疑者が佐世保市船越町の教会前に乗り捨てた車から約2500発、近くに脱ぎ捨てられた射撃用防護服から約180発の実弾が見つかった。火薬類取締法で、個人の保管が許される実弾数(800発)の3倍以上の数で、馬込容疑者は自宅の実弾のほとんどを持ち出したとみられる。
馬込容疑者、殺人サイトに関心
8人が死傷した長崎県佐世保市の散弾銃乱射事件で、馬込政義容疑者(死亡時37歳)が自宅パソコンから、インターネットの殺人に関するサイトにアクセスを繰り返していたことが分かった。県警は事件との関連を調べている。
県警が任意提出を受けたパソコンの閲覧状況を分析した結果、米国での銃乱射事件などの殺人を扱ったサイトへのアクセス履歴が残っていた。
(中略)
馬込容疑者は経済的に追い込まれた状況で、倉本さんへの思いも一方的だったとされる。また、犠牲者のうち先に撃たれたのは倉本さんだったことが、目撃者らへの事情聴取で明らかになった。県警は複数の事情から次第に人生への挫折感を深め、殺人サイトを閲覧するようになったとみて動機の解明を進めている。
馬込容疑者の自宅への家宅捜索を終え、報道陣に囲まれながら押収物を入れた段ボールを車両に運び入れる長崎県警の捜査員=長崎県佐世保市で2007年12月15日午後8時25分、小出洋平撮影
毎日新聞 2007年12月19日 2時30分 (最終更新時間 12月19日 10時10分)
銃にレーザー照準装置 命中精度高まる
2007年12月18日07時59分 asahi.com
長崎県佐世保市のスポーツクラブで起きた散弾銃乱射事件で、無職馬込政義容疑者(37)=同市船越町=の散弾銃から赤い光線が照射されていたことが、現場で目撃したクラブ会員らの証言でわかった。命中精度を高めるため標的に赤いレーザー光線を当てる射撃用照準装置を装着していたとみられる。特に、殺傷力の大きい単発弾(スラッグ弾)の射撃精度を上げる目的だった可能性があり、県警の捜査本部は馬込容疑者の明確な殺意の裏付けとなるとみて、押収物の分析を進めている。
調べでは、馬込容疑者は14日午後7時10分ごろ、迷彩服姿で散弾銃を手に同クラブに侵入し、プールや事務室で十数発を発砲。知人の漁具販売業藤本勇司さん(36)=同市鹿子前(かしまえ)町=と、同クラブアルバイト従業員倉本舞衣さん(26)=同市権常寺(ごんじょうじ)町=を殺害し、6人にけがをさせたとされる。
現場にいたクラブ会員らの目撃情報によると、馬込容疑者が銃を向けた先には赤い光が浮かんでいた。銃を構え、光が照らした先を確認してから発砲しているように見えたという。会員の一人は「アクション映画に登場する兵士のような感じだった。光がこちらに向いてきたので、撃たれると思って逃げた」と話す。
調べによると、藤本さんと倉本さんはいずれも散弾のほかに単発弾でも撃たれていた。銃器関連の装備品を扱う業者によると、射程が長い単発弾を撃つ際には、命中精度を高めるためスコープとともにレーザー装置を装着することがある。装置は1万円ほどで、通信販売でも入手できるという。
県警によると、馬込容疑者は遺体で発見された時は黒色の軍用ベストや革手袋も着けていた。付近には、約180発の銃弾が入ったベストや迷彩柄の布を巻いた鉄製ヘルメットもあった。逃走に使った車からは約100発の単発弾を含む約2500発の弾や迷彩色のバッグが見つかり、自宅から防弾チョッキやスコープのカタログが押収されている。
県警幹部は「馬込容疑者は軍マニアだった可能性がある。服装などから判断すれば、犯行時に自分をプロっぽく見せようという意識もあったのではないか」と話している。
藤本さん、制止しようとして銃撃受ける?
12月20日5時1分配信 毎日新聞
長崎県佐世保市の散弾銃乱射事件で、犠牲者2人のうち漁具製造業の藤本勇司さん(当時36歳)が、馬込政義容疑者(同37歳)を制止しようとして銃撃を受けた可能性があることが県警の調べで分かった。また馬込容疑者は藤本さんを銃撃後、裏口から逃走したとみられ、誘い出した他の同級生を捜した形跡もないことなどから、県警は当初の襲撃対象が水泳コーチの倉本舞衣さん(同26歳)だけだった可能性もあるとみている。
自殺した馬込容疑者の遺体から微量のアルコール反応が出ており、県警は馬込容疑者が飲酒して犯行に及んだ疑いもあるとみて鑑定を進めている。
調べなどによると、馬込容疑者はスポーツクラブのプール室に押し入り発砲。倉本さんは子供たちと事務室へ避難したが、馬込容疑者は事務室に押し入り至近距離から倉本さんを銃撃。直後、ラウンジ付近で藤本さんを射殺したとみられる。目撃証言や現場の状況から、馬込容疑者に気づいた藤本さんが、倉本さんへの銃撃を止めようとして撃たれた可能性も浮上している。
また馬込容疑者がプール室に侵入後、壁に向けて数発の“威嚇射撃”をした可能性が高いことも判明。壁から数発のスラッグ弾が見つかっており、馬込容疑者が、倉本さんの銃撃前に強い恐怖を与える意図があったとみて鑑定を急いでいる。
最終更新:12月20日5時1分
「やめろ」の直後発砲 藤本さん殺害で従業員証言
2007年12月23日 中日新聞朝刊
長崎県佐世保市のスポーツクラブ「ルネサンス佐世保」で起きた散弾銃乱射事件で、射殺された藤本勇司さん(36)は、友人だった馬込政義容疑者(37)=自殺=に「やめろ」と声を掛けた直後に銃撃されたと、男性従業員が証言していることが分かった。
藤本さんは馬込容疑者に誘われて来館していた。長崎県警は、馬込容疑者が初めから藤本さんを殺害するつもりだったのか、犯行を制止されて偶発的に発砲したのか、動機の解明につながる重要な証言とみて調べている。
長崎県警などによると、馬込容疑者は14日午後7時10分ごろ、迷彩服にヘルメットと覆面をしてスポーツクラブに現れ、プール室で発砲を始め、事務室に逃げ込んだ水泳インストラクターの倉本舞衣さん(26)を銃撃した。
当時、スポーツクラブの会員や従業員は事務室やホールで身をすくめ、震えていた。
そのうちの1人が、倉本さんを撃った後に部屋を出た馬込容疑者に、藤本さんが「○○(不明)やめろ」と言うのを聞いた。直後に1発の銃声が響き、藤本さんは倒れた。
事務所を出た馬込容疑者は、ロビーのフロント付近で藤本さんと顔を合わせ、正面の至近距離から発砲。あおむけに倒れた藤本さんに向け、さらに数発、発射して立ち去ったとみられている。
複数の証言から、馬込容疑者がプール室で発砲を始めた際、藤本さんは事務室より奥にあるラウンジにいたとみられる。2人の位置関係からすると、最初の銃声を聞いた後、館外に逃げ出すことは十分に可能だった。
しかし、藤本さんは馬込容疑者に制止の声をかけた。発砲している男が馬込容疑者であることに気付き、あえてそうした可能性もあり、「藤本さんの予期せぬ行動に混乱した馬込容疑者が偶発的に撃った」との見方も出ている。
これまでの調べで、馬込容疑者は藤本さん以外にも10人ほどの同級生をクラブに誘ったことが分かっている。当初は「親しい人物を道連れに心中を図った」とみられていたが、指定したクラブ内の待ち合わせ場所が人によって異なるなど、同級生を狙ったとすると、つじつまの合わない点も出ている。
馬込容疑者が誤って親友を撃ち、自責の念から自殺したとの見方がある一方、藤本さんへの執拗(しつよう)な銃撃には疑問も残るため、捜査本部はさらに証言を積み重ね、全容の解明を進める。
馬込容疑者犯行前に“自暴自棄”発言
12月20日8時2分配信 スポーツ報知
長崎県佐世保市の散弾銃乱射事件で馬込政義容疑者(37)=自殺=が事件当日、高校の同級生の男性に対し電話で「どうせ人間は死ぬんだから、人生面白く生きたほうがいい」などと自暴自棄気味に話していたことが19日、分かった。同容疑者は「もうおれ、こっちに長い間はいない」と自殺を示唆する発言もしており、佐世保署捜査本部では同容疑者の精神状態の解明も進める。また犯行の際、水泳インストラクターの倉本舞衣さん(26)が先に撃たれたとみられることも判明した。
「どうせ人間いずれ死ぬんだから、人生面白く生きたほうがいい」−。凶行に及ぶ直前、馬込容疑者は自暴自棄な言葉を口にしていた。さらに「もうおれ、こっちに長い間はいない。遠くに行くから」と自殺もにおわせていたという。
馬込容疑者は事件2日前の12日夜、同級生男性の留守電に「いい話を手に入れた。お金持ちの女性と知り合い、ルネサンス(スポーツクラブ)でパーティーをすることになった」とメッセージを残した。翌13日にも電話で「パーティーではじければ? その後、お楽しみがあるっちゃん」などとしつこくパーティーへの参加を勧誘。仕事を休んだ分の時給を出すとまで言っていた。
男性は「これまで馬込容疑者は女性の話などしたことがないのに」と困惑。不審に思い14日午前9時ごろ、体調不良を理由に誘いを断った。すると馬込容疑者は不機嫌になり態度を一変。「そこそこ稼いで楽しく生きたほうがいいやろ」と説き始め「どうせ人間いずれ死ぬ」などと投げやりな発言を連発したという。
東海学院大の長谷川博一教授(臨床心理学)は容疑者の「どうせ人間は死ぬんだから」という言葉を「死んで人生をリセットしても、別の世界があると考え、できるだけ多くの知り合いを連れて行こうと夢想していたのでは」と指摘。「女性とのパーティー」についても「自分が持っている欲望を象徴的に表現したもので、こう言えば相手も誘いに乗るだろうと安易に考えたのかも。躁(そう)とうつの強い二面性が感じられる。コンプレックスの裏返しから『大きなことをしたい』との願望を抱いていた」と分析した。
一方で、関西学院大の野田正彰教授(精神病理学)は「地方都市での生活に将来の展望を持てなかったのだろう」と容疑者の心の闇に注目。「行き詰まった感情を一方的に好意を寄せた女性にぶつけるように破滅的な事件を起こしたのではないか」と動機を推測した。
捜査本部によると実際にスポーツクラブに行ったのは、殺された漁具製造業の藤本勇司さん(36)と別の同級生の2人のみだっだが、馬込容疑者は男性以外にも幼なじみや同級生など少なくとも5人に声をかけていたという。
最終更新:12月20日8時2分
倉本さん交際に嫉妬? 事件前、好意伝える
12月21日2時32分配信 毎日新聞
長崎県佐世保市の散弾銃乱射事件で、現場となったスポーツクラブの会員だった馬込政義容疑者(当時37歳)が、水泳コーチの倉本舞衣さん(同26歳)に言葉で好意を伝えていたことが県警の調べで分かった。倉本さんは別の会員男性と交際しており、倉本さんの交友関係への嫉妬(しっと)が動機の一つとなったとみて調べている。乱射事件の動機の一端が判明したのは初めて。
調べなどによると、馬込容疑者は、男性とほとんど面識がなく、「いつから会員か」「どこに住んでいるのか」などと尋ねたり、倉本さんと一緒にいるところに不意に姿を見せるなど、ストーカーまがいの行為をしていた。男性は県警の事情聴取に対し「最近、(馬込容疑者から)じろじろ見られることが多かった」と話しており、倉本さんも馬込容疑者について「あの人気持ち悪いの」と嫌悪感を示していたという。
また、クラブ側は明文化していないが、従業員が会員と個人的な交際をしないよう研修などで指導していた。県警は、馬込容疑者がこうした“ルール”を何らかの経緯で知り、倉本さんと交際しないよう男性に圧力をかけていたとの見方を強めている。
馬込容疑者は、倉本さんがクラブに就職した02年5月のほぼ同時期に会員になり、いったん退会。今年8月の再入会後は週1回程度のジム通いだったが、最近は連日のように来ていた。倉本さんは受付と水泳を担当。馬込容疑者との接点があったとみられ、馬込容疑者は好意を伝えることと前後して男性との交際を知ったらしい。
馬込容疑者は倉本さんを執拗(しつよう)に狙って発砲したことが確認されているが、男性を殺害対象にした形跡はないことから、県警はさらに動機について慎重に調べている。
馬込容疑者、交際男性を押しのけ倉本さん追いかける
12月23日3時9分配信 読売新聞
長崎県佐世保市の散弾銃乱射事件で、自殺した馬込政義容疑者(37)は、スポーツクラブのプールサイドで倉本舞衣さん(26)の交際相手の男性を押しのけ、倉本さんを追いかけていたことが、県警の調べで分かった。
馬込容疑者は他の人には目もくれずに倉本さんに狙いを定めて銃撃しており、県警は倉本さんを狙った犯行と断定した。
調べによると、馬込容疑者は14日午後7時10分ごろ、迷彩服の上下にブーツ、ヘルメットを着用し、黒いマスクで顔を覆った姿で正面玄関からクラブに侵入。プールサイドに向かった。倉本さんの交際相手の男性は、体格などから馬込容疑者と気づいたといい、プールから上がったところで、馬込容疑者に手で押しのけられた。この時、馬込容疑者は無言だったという。
プールにいて異変に気付いた倉本さんは、子どもたちを誘導しながら、出入り口とは別の方向から事務室へ逃げ込んだ。これを見た馬込容疑者は銃を腰に構えてプールサイドを走りながら2発を発砲。プール出入り口から玄関ホール側に出て、倉本さんが外に逃げ出せないよう先回りする形で事務室に入り、倉本さんを銃撃した。
男性は、県警に対し「(以前)倉本さんと一緒にいるところを何度も見られた」と証言。馬込容疑者は、プールにいる倉本さんを見つめる姿がたびたび目撃されており、県警は馬込容疑者が倉本さんに一方的な好意を募らせていたとみている。
事件数日前には、男性はクラブ内で馬込容疑者から「住所はどこですか」「一緒に食事をしませんか」などと親しげに声をかけられたという。
県警は、馬込容疑者が〈1〉男性には銃口を向けずに倉本さんを追った〈2〉最初に倉本さんを銃撃した〈3〉事務室には子どもらも倉本さんと一緒に逃げ込んだが、倉本さんだけを至近距離から狙い撃ちした――ことなどから、倉本さんを狙った犯行と断定した。
(2007年12月23日3時2分 読売新聞)
なぜ銃撃?動機捜査は越年 佐世保市の乱射事件
2007.12.28 20:01 MSN産経ニュース
長崎県佐世保市の散弾銃乱射事件は最大の謎ね馬込政義容疑者(37)=自殺=の犯行動機が解明されないまま越年する。週末のスポーツクラブで、水泳インストラクター倉本舞衣さん(26)と容疑者の友人だった藤本勇司さん(36)は、なぜ撃ち殺されたのか。
佐世保署捜査本部は28日、今年最後の発表をした。「クラブ内での発砲は11発」など、事件発生から2週間で特定できた事実を3、4点挙げ「単独犯行」と断定する内容。しかし動機面や犯行計画について報道陣が問うと、幹部は「(容疑者)本人の口から出てこないから、分からない」と表情を曇らせた。
捜査本部は、プールサイドから逃げ込んだ事務室で最初に撃たれた倉本さんに注目した。倉本さん、容疑者とも平成14年5月の同じ時期にそれぞれクラブに入社、入会し、2人は5年にわたる面識があった。
事件の3日前、倉本さんと交際していた男性がクラブ内で容疑者にしつこく話し掛けられていたことも分かった。「好意を告白、断られた」「ストーカー犯罪」などの報道もあった。
しかし馬込容疑者の携帯電話には、倉本さんに電話やメールを発信した記録はなく、パソコンにも犯行計画のような記述はなかった。倉本さんが周囲にストーカー被害などを相談した形跡もなかった。
幼いころから容疑者と親しく、事件当日、クラブに呼び出されて来ていた藤本さんが撃<